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思わず絶句した。
「自分の理性の強さには
自信がありますが、
それでも保険は欲しくて。
連れがいれば、
ついうっかり
なんてこともないので」
「あるわけないじゃないですか、
そんなこと」
咄嗟に出た声が
震えてしまった。
今、わかった。
この人と同じことで
頷くのはいやだと思った理由。
桃さまは私を見つめて、
まばたきもせずに
ふっと低く笑う。
「人間だって動物ですよ。
無垢な衝動への耐性は
いくつになっても
つきません」
……頷けば頷いた分だけ、
私の心が
この人で汚される。
理屈じゃなく、
本能でそう感じた。
この人──
きれいな所作で、
きれいな顔して、
きれいな声と言葉で
話すけれど、
身体の中には
とてつもない
汚毒が詰まっている。
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