生はまこと野放図に尽きる

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「──で、 どうして杏なのかは 訊かなかったわけ?」 アイスクリームの蓋の裏を ペロペロと舐めながら、 「ばかじゃないの」と 千佳が肩をすくめた。 私が久しぶりに 男と出かけるなんて 話をしてしまったせいか、 夜になって千佳が 急に訪ねて来たのだ。 玄関ドアを開けた瞬間、 「なんで、いるの」と 心の底から馬鹿にしている顔を されてしまった。 そういう関係の人だろうと なかろうと、 いきなりそんなことに なるわけがないのに。 私はあの海外ドラマの ヒロインではない。 些細なことに一瞬で高まり、 よく知りもしない男と そのままパパッと ベッドインしてしまうなんて ありえない。 .
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