第1章

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     運命の宝石     3ページ  ココの心の美しさはカラスには通用しない。 「成る程、ごもっともだ。だがな、自分以外の事は俺には骨折れ損にしか見えないよ」 「私はそうは思わない。私は素晴らしい事しているの。私はね、命の尊さを愛で包む素晴らしさを見つめているの。精一杯生きる命はね、今が一番素晴らしいの」 「それは素晴らしい! だけど俺は真っ平ごめんだね。自分以外の事で骨を折るなんて、真っ平御免だ!ココ、お前の素晴らしさを邪魔する気はない。心おきなく頑張ってくれ。悪く思うな、そのままにして置くからな。お前の素晴らしさ、みんなに見せてやれ」  カラスは去った。ココは諦めずにまた力を振り絞った。その姿に痛いとわめくばかりだったチューリップは、ココの心の美しさに感動した。ココの心の宝石を見る思いだった。  自分の為にこんなにも骨を折り、心砕いてくれるありがたさ、喜び、それは運命の宝石である。その事で自分の存在に大きな喜びを感じる、自己の存在価値の輝きを感じる。それも運命の宝石である。自分の為にそこまでしてくれる喜び、心の美しさへの感動、それらは運命の宝石である。心の世界では感動が運命を変える時がある。最高の理想に背を向け、あるがままの質素さに十分な喜びで心が満たされる。心の美しさに触れる喜びは、命の尊さに導かれる喜びである。自分の存在価値を輝かせてくれる、自らの存在価値の輝きに感動させてくれる。それらはこの上ない運命の宝石である。心の美しさに触れた時、命の尊さは自己存在価値の輝きとなって現れる。あなたにあなたの命の尊さを教えてくれる存在、それは運命の宝石である。チューリップはそれらを感じた。外面的な美しさより心の美しさが大切だと心から感じた。ココの心の美しさや温かさは感動そのものだった。その感動は心から嬉しかった。チューリップは自分たちの命の尊さを心から感じた ココの心の美しさはそれを教えてくれた。心から感謝する思いだった。ココの心の美しさの前では、自分たちのないものねだりはただ恥ずかしいものに思えた。命の尊さを愛で包む、心からの感動を見た。それが何より嬉しかった。風が吹いて小枝が動いた。ココはありったけの力を振り絞って小枝を除けた。ココは大喜び。 「やった! やった! 良かった!」  約四時間。チューリップも大喜び。
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