1.逆転

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   初めは、ここがどういう場所かも、自分がなんの為にここにいるのかも分からなかった。  ここは、季節も何も感じられない。  ただ、四角い箱の中、目に映る景色はどこかで見たような。  いつ、どこでだったかな?  だめだ、思い出せないや。  もどかしくて、足元にあったタオルを掴んで引き寄せた。  真っ白な壁に仕切られていて姿は見えないけど、時々鳴き声が聞こえる。  どうやらここには、おれ以外にも仲間がいるみたいだ。  自分ひとりじゃないって分かったからかな?  なんとなく安心して、箱の中、蹲(うずくま)る。    
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