1.逆転

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  《あいつさ》  おれは、彼が前足で示した指先を辿って、大きなガラス張りの窓の外を見た。  そこには、おれがここにきて初めて見た生き物、金色の髪の男が立っていた。 《俺がお前くらいだった頃に、あいつが8歳くらいだって言ってたのさ》  名前も知らない彼は、俯いて両手を見る。  少し間をおいて、ぽつり、彼が言った。 《なぁ、知ってるか?》  
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