第1章 終わりの始まり

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休憩所から自分のデスクへ戻ろうと歩いている途中で,わざと他の社員が祈にぶつかってくる。 「ちゃんと前みて歩け。」 「あ,ハイ。すんません。」 祈自身は何も悪くないのに,慣れたようにヘラヘラと笑って適度に会話を受け流す。 祈はこの部署に配属されはや2年,なかなか親密な友人も出来ずに周りからは,使い走りや,八つ当たりの道具の様に使われ,所謂パワーハラスメントという物を受けていた。 そんなパワハラに屈せず,デスクに戻ると仕事を再開する。 祈は面倒な事が大嫌いで,仕事も生活の為なんとなくやっている。適度な給料がもらえて特に趣味もなく,生きていければそれでいい。 そして,また就職活動するのが面倒ですこし耐えればなんとかなるだろうと考え仕事も辞めず,こなして来た。 そんな辛い日常さえ,祈自身は普通の日常の様に過ごしてきた。 仕事に集中していると早くも退勤時間になっていた。時計を見て,席から立ち上がろうとした瞬間,背後からなにやら気配がする。 「志波崎。今日もみんなの分の残業頼んだぞ。」 「ぶちょー!今日は花金ですよ。皆で飲み明かしましょう!」 そう言ってケタケタと笑ってオフィスから出て行く,仕事な方をヘラっと笑って見送る祈であった。
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