第1章

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 何だ自作のカレーライスって。面白いな。はじめは書類(レシピ)審査。市販のカレールーは特定の物のみ使用可だが、オリジナルにスパイスを使っても良い。よく見ると主催はそのカレールーを販売している某大手企業だった。個性的な、オリジナルなカレーライスの募集。最優秀作品には十万円。うん妥当。副賞としてその主催が販売しているカレールー各種1年分。  一年分!! おいおい、魅惑じゃないか。普段なら買わないバカ高いルーも入ってるようだ。これは応募するしかないね。  応募は学生・一般及び調理従事の方等、プロ・アマ、個人・グループを問わず。つまり素人一人でも出ていいという事だね。  私はこのコンテストへ応募するためのレシピを考案するべく、行動を起こす。今まで培ってきたゲテモノ含め合いに合う食材を組立てては排除し、排除しては再検討しとカレーライスのコンテストだから、ネタ的にデザートにはできないと悶々と考えに考え抜いた。しかし、カレーとライスが含まれていたら別にデザートでいけるんじゃね? とか思ってみたが、やはりそこは王道をと思った矢先に邪道に飛び出してみたりといろいろあったが、私は一つの解にたどり着いた。  やはりカレーライスは熱いほうがおいしい。そうそれこそが一つの解であり唯一の真実である。  しかしながらただのカレーライス好きには限度と言うものがある事に私は薄々、否、はじめから気が付いていた。 「くっ、やはりあの手段を使うしかないのか」  そう、私には一人。たった一人だけ料理について詳しいというか本業の知り合いがいた。  あまりウマが合わずに疎遠になりかけていたが、とうとうその人物をコンタクトを取らなければいけない時がやってきてしまった。 「この手段はあまり使いたくなかったが……仕方ない」  私は嫌々ながら携帯アドレスの一番上に登録してある《あね》の電話番号をプッシュする。  今思えばそうこれが全てのはじまりだった。
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