第1章

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女の子の家の近くで男の子が倒れてることを使用人から聞いた女の子は、まさかと思い確認しにいく。 一方的に別れを告げた愛しい男の子が雪の中に埋もれているのを目の当たりにし、だから無理しないでほしかったのにと悲痛に顔を歪める。 そのとき、男の子が声を出さずに女の子の名を呼んだ。 虫の息な男の子をそっと抱き締め、意識のない男の子に「大好きだよ」と涙ながらに想いを伝えた。 そして意を決したように涙を拭い、男の子の唇に自身の唇を重ねた。 自分の一族は命を吹き返す術を使える。その代わりに自身の命が削られる。そのせいもあり、短命だ。 だがその術を人間に使うとなると話は別だ。 命を吹き返す術を人間に使えば、術者は命を落とす。相手を生かす代償に己の命が潰えるのだ。 それをすべて覚悟の上で、男の子を生かす術を選んだ。死んでほしくなかった。 できれば男の子の隣を歩きたかった。なんの柵もない世界で堂々と恥ずかしがらず、普通の、どこにでもいるような平凡な男女として普通に甘酸っぱい恋をしたかった。 けどそれはもう永遠に叶うことのない夢物語なのだと、薄れていく意識の中ぼんやりと思った。やがて息を引き取る女の子。 男の子は自分の部屋で目が覚める。 家族に心配され、女の子に会いに行ったのに結局会えなかったことを思い出し落胆する。
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