第1章

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腐敗した街で倒れてる人々を助ける落ちこぼれの死神。医者にみてもらうこともできず薬もなくなった病弱少女も倒れてたが助けられ、お礼を言おうとするも姿を表さない。 少女は死神を探すため色んな手段を使う。 やがて死神は姿を表し、自分を探すのをやめないと命を奪うぞと脅す。 そんなのお構い無しに助けてくれたお礼を言う。少女の言葉に死神は心が満たされていく。そして成り行きで少女のそばにいることになり、少しずつ打ち解けていく。 だが落ちこぼれの死神の上司に1週間以内に魂をひとつも狩れなかったら死神の位を剥奪する。そしたらその身は朽ち果てると言われて少女に会うのをぱたりと止める。 またいなくなった死神を探す少女。だが見つけたのは死神に相応しくない優しさを持ったあの人ではなく冷酷な眼差しで死者を葬る死神としての本来の姿だった。 少女と目があったとたんに姿を消す死神。少女はその場で立ち尽くしてしまう。 もう今度こそ心通わせることはできないと悲しみに暮れる死神。 少女は死神の真の姿を目の当たりにしても尚、死神と一緒にいたいと願う。 たとえ己が死に逝こうとも、あの人と共に在りたいと、その想いだけで奔走するがやがて咳き込み、倒れてしまう。 死神から定期的にもらってた薬がないため回復する術はない。身体から感覚が薄れ、意識が遠退いていく。今は夜。眠気のせいだと思ってても、もう目を覚まさなくなるのではという思考が頭を占領する。 死にたくない。でもこんな身体じゃ誰かの役に立つわけでもない。生きててもなんにもならない。ならいっそ、死んでしまったら楽なのか。等と考えてたら脳裏に過る落ちこぼれ死神。 いっそ死ぬなら、一思いにあなたに殺されたい。そう思った瞬間に薬を手にしてこちらに駆けてくるひとつの影。落ちこぼれ死神だ。 薬でまた助けられ、お礼を言うもお礼を言われるような者ではないと悲痛な面持ちになる。それを見て少女は死神とは思えないくらい優しいね、と面と向かって言う。 そしてどんなあなたでも一緒にいたいと言うと、死神は少女を強く抱き締める。 そして死神は優しく微笑み、ありがとうと初めて感謝の言葉を口にした。 END
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