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――嬉しかった。一度は終わるかもしれないとさえ思ったみんなとの関係が変わらなくて、心から嬉しかった。その喜びがつい爆発してしまったんだ。
呆れる田上っちも、怒っている朱美ちゃんも、笑っている刀野さんも、注意してくる恭子先生も、赤面して絶叫するヤーちゃんも。いつの間にか俺にとって大切な人たちになっていて、この関係が変わらなくて嬉しくて、安心した。
情けない話だよな、あの榊とかいう野郎をぶっ飛ばしたい一心で形振り構わず暴れておきながらこんな事を心配して…。だけどみんなは俺の心配なんて無駄だと言い切ってしまう。本当にいい人たちと仲良くなれたと思う。
今はまだ俺が魔王である事は言えないし、もし言ったらみんなは今度こそ離れてしまうかもしれない。だけど、そうならない未来を望んでいる俺もいる。
勇者パーティーのクレナ・ミステット……いや、信頼を込めてクレナと呼ぼう。クレナが別れ際に言った「その『橋』を大切に」という言葉に心が震えたんだ。
俺とみんなにかかった『橋』。今は一方的にしか見えず、渡れない『橋』だけれど、いつかは互いに見て、自由に渡れる『橋』になればいいと願う。
きっとその『橋』が、俺の思い描く未来に繋がると思うから…。
嫌な一日だったのは確かだ。だけどそれだけじゃなかった。大変だったけど、そのおかげで見えた大事な物もあったんだ。
そんな意味も込めるなら、今日は最高の一日だったのかもしれないな――。
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