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"こんな事さえ起きなければ"。
「がッッ、ぶごぁ…ッ!!」
食道を逆流して口から飛び出したねばついた液体がコンクリートの地面に落ち、跳ねる。
細かい亀裂の走った住宅街の塀を背にする俺は、"千切れた左腕を右手で持ったまま"正面を睨み付けて口を開く。
「……なんだ…お前らッ…?」
俺の質問に対しての返答はなかった。返ってきたのは金属が擦れ合うような機械音のみ。
月が昇る夜の闇の中で、四つある目が複数、怪しげな紺碧(こんぺき)の光を放つ。
スピーカー越しのような男の声が届いた。
『これより、ターゲットの回収作業に取りかかる』
― 終 ―
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