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叱られる俺を見て笑うみんなの中に、一人だけ笑っていない人物を見つけた。その子は目が合うなりサッと顔を背けてしまう。
「ヤーちゃん」
「…………あの、先輩…体は大丈夫なんですか…？」
その心配の言葉は流れ的に妥当な言葉で、彼女の本当の言葉ではないのがすぐにわかった。
「俺が怖いかい？」
だから俺は、あえてヤーちゃんの心配の言葉を無視してそう尋ねる。
ヤーちゃんは僅かに体を震わせて、
「………少し、怖いです」
「だよね」
「……でも、わかった気がしました」
「…何が？」
「…先輩の事がです。今まで自分が見ていた先輩は表側だけだったんだってわかりました。でも今日の先輩を見て、少し…先輩がどういう人なのか、わかった気がするんです」
「………」
「………本当に優しくて、許せない事はしっかりと許せないって口に出来て、強くて、怖いけど、カッコいい……そんな先輩が見れました」
ほんのり頬回りを赤らめるヤーちゃんの顔を真っ直ぐ見つめ、ヤーちゃんもまた俺を真っ直ぐに見つめてくる。
「先輩は、やっぱり先輩なんだって安心しました。だから大丈夫です」
「……………うぅう」
「？」
「ヤーちゃぁぁああああん！！！」
「はわぁっ！？」
感極まってヤーちゃんの小さな体を抱きしめて抱き上げてグルグル回る。ヤーちゃんの悲鳴を聞いてもやめられなかった。
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