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ここは、MISORA株式会社。 国内最大手の下着メーカーだ。 社長の美空雅人氏は、若い頃ファッションデザイナーをしていた経験から、『洋服に共鳴する下着』をコンセプトに設立され、一代で日本最大手と呼ばれるまで成長させた。 だが、決してワンマンなわけではなく、『自分はあくまでも制作側の人間だから。』と、謙虚な姿勢を崩さず、周りの意見に耳を傾けるその姿が、MISORAをここまで大きくしたといわれている。 私は、短大卒業後二十歳で入社した。同期の中でも、短大卒は私だけ。周りは四年制大学を出ているため、二歳以上年上だ。 1ヶ月の総合研修を経て、総務課に配属。二年間総務の経験した後、何故か秘書課に異動となる。 始めは、社長の愛人呼ばわりだったが、社長の人格が噂を長続きさせなかった。 事の真相は、二人いる秘書のうち、女性秘書が退職するための人員補強。それまで社長秘書を務めていた、西条さんの計らいで、早く仕事が覚えられるようにと、いきなり社長秘書となる。 セクハラ専務に付くよりは、遥かに良かったと思う。
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