1

4/11
前へ
/43ページ
次へ
それから、五年。 なんとか今日も仕事が終わった。 私は、目の前で開いたエレベーターに滑り込むように乗り、目的地と開閉ボタンを二回ずつ押した。 静かに動き出したエレベーターで、ふっと気を抜いていると、すぐ下の階で止まった。 ドアが開くよりも早く、姿勢を正してボタンの前に立ち直す。 開いたドアから入ってきたのは、男性だった。 視線を落としていたが、革靴の先が見えてぺこりと頭を下げた。そして、その人物を確認しようと顔を上げた。 入って来たのは、男性だった。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加