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僕は、彩は拓也に好意を持っていると感じることがよくある。
それは、彩と僕の2人になると、彩は拓也のことをよく話題にし、拓也の話になると笑顔で楽しそうに話をするからだ。
でも、彩は拓也の前では遠慮しているのか、講義を受けるときは拓也の隣の席ではなく、必ず僕の左隣の席に座る。
こんな彩を見て、僕は歯がゆい感じを抱いていた。
ある日、いつものように大学に行くと、拓也が家の用事で講義を休むと連絡があり、彩と僕は2人で講義を受けた。
講義の合間の休み時間に、僕は彩に話をした。
「彩、拓也が彩のこと好きだって言ってたよ!」
実は、僕は彩に嘘をついた。
彩は、
「えっ、そうなの?」
と返事をした。
彩はもっと喜ぶと思っていたが、予想外に冷ややかな感じだった。
僕は、あまり悪気もなく、こんな嘘をついてしまった。
彩は、もっと積極的に拓也と話をすればいいのに…と思っていたからだ。
僕は、この嘘をきっかけに、彩と拓也がもっと仲良くなればいいと思っていた。
でも、この話しの後、彩は口数が少なくなり、元気がなくなったように感じた。
僕が、
「彩、どうしたの…
大丈夫?」
と問いかけると、彩は、
「何でもない、大丈夫だよ!」
と答えてくれた。
僕は、何かまずいこと言っちゃったかな…と思ったが、この時は、嘘の罪の重さを感じることはなかった。
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