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この日講義が終わった頃、彩から電話があり、夜公園で会いたいと言われた。 この時の電話口の彩は、だいぶ落ち着きを取り戻しているようだった。 なぜ、公園に呼び出されるのか疑問に思ったが、彩は相談があると静かな口調で落ち着いて話していたため、僕は彩から指定された公園に足を運んだ。 僕が公園のベンチに座って待っていると、彩がやってきた。 彩は、思いつめたような表情をしていたが、僕の顔を見ると歩きながら話そうと言った。 彩と僕は、夜のライトアップされている公園の中を並んで歩きだした。 彩が、話を始めた。 「ひろくんは私に、たっくんが私のこと好きだと言ったよね。  この話をひろくんから聞いたとき、正直私はショックだった。  だって、私はひろくんのことが好きだから…」 想像もしていなかった彩の発言に、僕は驚いた。 (そうだったのか…) 僕は、彩の気持ちを知らなかったとはいえ、とんでもないことをしてしまったと思った。 彩は、続けて話をした。 「私は、悲しかったけど、でもしかたのないことだと思ったの…  それで、私のことを好きだと言ってくれた、たっくんの気持ちを大切にしたいと思って、できるだけたっくんに話しかけるようにしたの…  たっくんは、とても優しくて、たっくんと話をしている時は、とても楽しかった。」 拓也に対する彩の思いやりのある行動に、僕は胸を締め付けられる思いがした。 彩の話は続いた。 「昨日、たっくんにラブホテルに誘われたんだけど、私はまだたっくんが好きだという気持ちにはなっていなかったの…  でも、たっくんは強引で、たっくんが私のこと好きならいいかなと思ったんだよね。  少しお酒を飲んで、気持ち良くなっていたこともあって、たっくんに誘われるがままラブホテルに行って、たっくんに抱かれたの…  そして、ベットの上で2人で話をした時、たっくんに私のことどう思うか聞いたら、私のことを好きだとは思っていないと言われたんだよ。  私は、悲しかった!」 僕は、返す言葉がなかった。 せめて、僕が拓也の気持ちを知った時、僕が嘘をついたと彩に正直に伝えていれば、こんなことにはならなかっただろうと感じた。 彩は、拓也にもてあそばれたと感じているに違いない。 この時、僕の嘘は完全にばれたと思った。
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