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「ああそうだね、連絡網って大体夜が多いもんね」
「うん、その時間帯うちのお父さん店出ちゃってるから。それで、うちの次が男の子の家なんだけどさ」
ちょっと思い出したらやっぱりムカついてきました。
「そこん家も事情は知らないけど、必ず本人が出るのよ。で、そいつがあたしと同小なんだけど」
「同小?」
「あ、同じ小学校出身。クラスも同じだったし、結構仲良くて普通に話したり遊んだりしてたんだよ。なのに、中学になって、初めて連絡網でかけた時にさぁ」
一息いれる。ちらっとコーヒードリッパーに目を向けた。うん、もうすぐ終わりそう。楽しみ。
「あたしは小学校の時の調子で、あ、もしもし、田崎?って普通に話しかけたんだよ。そしたら『…あ』ってだけ。なんだよ話しにくいなぁって思いつつ、連絡事項を伝えたんだけど、そいつその間一音も発しないんだよ!相槌打たれないと人間って上手く話せないもんなんだってよーくわかったよ」
「はははは」
何故か野上くんはすっごく大笑いした。何がそんなに面白い?
「それで、聞こえてるかどうか不安になって。あの、わかった?って念押しに聞いたらさぁ。その言葉の途中で、思いっきりブツッて切られたんだよ!もう本当最低」
なんか悔しくてちょっと涙目になってしまった。
「あたしが何したのかはわかんないけどさ。ついこないだまで普通に仲良くしてたのに、そんな急に嫌うことないじゃん。もう本当にそいつん家に電話すんのが嫌で、最近は一方的にこっちからダーッと喋って、わかっててもわかんなくてもいいやって感じで切ってるけど、その度すっごい嫌な気持ちになる。そこまでじゃないけど、なんか他の男の子たちも微妙に話しづらいし…。あたし、何で男の子にこんな嫌われるかね?普通にしてくれたら全然言うことないのに」
野上くんは同情するように肩を竦めた。
「さっきは笑ってごめんね。…うん、俺は、男の子の気持ちもわかるからさ。まりさちゃんは綺麗だからね」
「…はぁ?」
途端に顔がありえないほど熱くなる。何言ってんの急に、野上くん?
「綺麗なんかじゃないよ、全然。何でそんなこと言うの?」
野上くんは真面目な顔であたしを見て、全く照れもせず言った。
「綺麗だよ。俺が今もしリアルに中一だったら、多分こうやって目をちゃんと見て話したり絶対できないと思うもん」
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