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「まぁ、あたしの見る限りではね」
中一に色気のなんたるかが本当にわかってるかどうか自信はないけど。あと、『あんたの野上くん』は止めて欲しい。実態とかけ離れてて虚しい。
ミサヲは興味津々で声を潜めて身を乗り出してくる。
「…彼女、胸とかは?おっきいの?」
わたしはちょっと真面目に考える。
「いや、大きくはない。あんまりまじまじと見たこともないけど…、夏とか薄着の季節に見る限りでは。普通だと思う。極端に小さい感じもしないけど」
「そっかぁ、胸は普通でも大丈夫なわけね。特別大きくなくてもいいんだ」
なんか納得してる。ってか、何の参考にしてるの、ミサヲ?
「じゃあさ。あんたの野上くんと父ちゃんの心を鷲掴みにしてる彼女の要素って何だと思うの。マリリンだって普段見てて、何か感じ取るものがあるんでしょ?」
「マリリンやめろってば」
「いいじゃんマリリン。まりさなんて超キュートな名前、マジ羨ましいよ。親がお洒落センスでよかったじゃん。あたしなんか美沙緒だよ、ミ・サ・ヲ。今時信じらんないようちのオヤ」
「何でよ全然いいじゃん。ちょっと和風でさ、シックだよ。逆にカッコよくね?」
心からそう言うと、ミサヲはチッチッ、と音を立てて指を振った。
「いやマジ意味わかってないからそう言えんだってば。みさおってさ、テイソーって意味なんだよ。自分で調べて気絶しそーになったよ。本当信じらんない今時」
「テイソー?なんだっけ」
「わかんなかったら調べてよ。とってもあたしの口から…。全く、結婚するまでショジョでいろってかうちのオヤたち」
処女?…ああ、そっち系の言葉かぁ。
赤くなりたくないのに、顔が勝手にちょっと赤くなる。こういうのもなんかカッコ悪いなぁ。多少の下ネタ(か?)にも、平然として動じないでいられたらなぁ。
それはさておき。
「うちの父親と、野上くんを見てるとだね」
考え考え、言葉を探す。
「二人の共通点を言うなれば…、ドM?」
「はぁ?」
ミサヲはからあげクンを咥えて絶句した。
「それ何?ムチでピシッとかのヤツ?」
「いやそれはわからんけど。何というか、セリさんって素っ気ないというか。言葉も割と愛想ないし、何言ってもはぁ?マジかお前、みたいな感じ。…でも」
そういう時の二人の表情を思い出してみる。
「なんていうか、…あしらわれて嬉しそう、っていうか。嬉々としてる?冷たく突っ放されても、全然めげないんだよね、あの二人 」
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