3人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
ここはオルデン王国の首都カーグ。
人間はもちろん、日々様々な亜人や天使、モンスターが行き交う、大きな街だ。
この街は、貴族や王族の居住地、一般市民の居住地、そしてスラムに別れているが、一般市民居住地とスラム街の境目辺りに、カルサンドという店がある。
店?
ほったて小屋の間違いでは?
というぐらいボロい店に、傾いたカウンターがあり、それに突っ伏すような感じで、目つきの悪い若い女が座っている。
「あー、ねみぃ」
春のうららかな日差しの下で、女は退屈そうにあくびをする。
癖毛の金髪ショートで肌は褐色。
よく鍛えられた体で、傷跡だらけだ。
服装は巨乳を隠すためのボロボロの革よろいに、これまたボロボロの革の腰巻き。
よく見ればなかなかかわいい顔つきだが、そのみすぼらしさと目つきの悪さで、それに気付かない。
そして何より、彼女には頭に二本、牛のような角が生えている。
「よぅリック、今日もヒマそうだなぁ」
前を通る柄の悪い大男が笑いながらそう言うと、彼女、リックは、
「うっせぇ、金返せっ」
と、いかにもだるそうに返した。
最初のコメントを投稿しよう!