カルサンドの三人衆

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 ここはオルデン王国の首都カーグ。 人間はもちろん、日々様々な亜人や天使、モンスターが行き交う、大きな街だ。 この街は、貴族や王族の居住地、一般市民の居住地、そしてスラムに別れているが、一般市民居住地とスラム街の境目辺りに、カルサンドという店がある。  店? ほったて小屋の間違いでは? というぐらいボロい店に、傾いたカウンターがあり、それに突っ伏すような感じで、目つきの悪い若い女が座っている。 「あー、ねみぃ」  春のうららかな日差しの下で、女は退屈そうにあくびをする。 癖毛の金髪ショートで肌は褐色。 よく鍛えられた体で、傷跡だらけだ。 服装は巨乳を隠すためのボロボロの革よろいに、これまたボロボロの革の腰巻き。 よく見ればなかなかかわいい顔つきだが、そのみすぼらしさと目つきの悪さで、それに気付かない。  そして何より、彼女には頭に二本、牛のような角が生えている。 「よぅリック、今日もヒマそうだなぁ」  前を通る柄の悪い大男が笑いながらそう言うと、彼女、リックは、 「うっせぇ、金返せっ」 と、いかにもだるそうに返した。
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