第1章

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あまりにも長い間考えていた気がする。 だけど心は決まった、僕はするべきことをする。 カーテンを開いても入り込む光がなかった。暗闇に包まれている自室を抜け出す。 短い廊下を歩き、軋む階段を下る。 足取りが軽い、いやもう止まれないだけだ。 窓ガラスに写る僕の姿は端から見たら酷いものだろう。目は虚ろい、口はぼんやりと開いている。 こんな僕を母さんが見たら悲しむのかな。 悲しみも喜びも失われた僕に残っているのは憎悪だけ。 僕の心の中に、ただ残っているそれによって突き動かされる。 頬に涙が伝わる。この雫の意味を、僕は知らない。 キッチンにたどり着き、包丁を手に取る。 やるべきことをやって、それで終わりにしよう。 僕は寝室に向かった。
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