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――有り得ないね、俺に恋人なんて――
あの時、葵(あおい)はそう言った。
――――
「――蓮(れん)」
俺の名前。
いつもは俺が声をかける事が多いのに珍しい。
「よ。どしたん」
「お前こそ」
「……うん?」
「何、変だぞお前」
帰るっつーのに迎えに来ねぇし、と葵は付け加える。
そう言えば、と俺は葵の肩をがしっ、と組んだ。
「――なーんだよ、寂しいってかぁ?」
「うっせ、うっぜ、おっも。そんなんじゃねぇし」
俺と葵は幼馴染で、ほっとけないやつで。
一回からかうとこの通り、三回は暴言を返してくるやつで――前も今も、恋をしているやつで。
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