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――――
葵は、先生を捨てれた。
いや、捨てている途中かもしれない。
どっちでもいい。
良かった――良かった。
「……好きになれて、良かった」
いつもより少し早く歩きながら俺は小さく呟いた。
自分に向けてじゃない。
葵にだ。
好きな人が出来たんだ。
もしかしたらもう恋人かもしれない。
どっちでもいい。
けれど、何だろう。
何で俺、苦しいんだろう。
と、がんっ、と店の置き看板にぶつかってしまった。
――っ痛ぇ……何やってんだ俺……。
その時、しゃがんでた俺に影が差した。
「――いい音がしたね」
店の人か、と思って慌てて顏をあげると、そには大人の男の人がいて、微笑んで俺を見下ろしていた。
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