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凛々しい騎士の姿を、娘は笑顔で見上げていた。
その理由は、助けて貰った事もあるが、探す手間が省けたのも大きい。
彼女は、野営地でアイバンを探していたのだった。
「セドリック卿の騎士殿、お初にお目にかかります。オーラン公爵夫人の使いで参りましたケティと申します」
ケティは、スカートの端をちょこんと持ち上げると、優雅にお辞儀をした。
その仕草は、上流階級の婦人に仕込まれている事を物語っていた。
「ケティさん、御苦労様です」
アイバンには、ケティが訪問した目的が解っていた。
彼は、今日の馬上槍試合で、オーラン公爵家の騎士と対戦し、打ち負かしていた。
ケティは、アイバンが預かっている甲冑などを引き取りに来たのだろう。
早速、ケティをテントへ招き入れ、甲冑を引き渡す交渉に入る。
交渉と言っても、アイバンの方には、弱味につけこんで吹っ掛ける気はなかったので、オーラン公爵側の提示額ですんなり決まった。
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