1人が本棚に入れています
本棚に追加
出会い
沙希は、地方の国立大学の後輩として僕の職場にやってきた。
しかも僕のアシスタント兼見倣い的なポジションで、そしてヤタラと声が大きかった。
例えば静かにカクテルを傾けるような雰囲気のある店でも、店中に響き渡るくらいの大声で話をするようなタイプの女子は沙希が初めてだった。
何しろ彼女は、三歳くらいから空手を続けていて現在は四段の腕前。しかも得意技はローキックなのだそうだ(本当は下段何とかっていうらしい)。
そんな彼女を迎えるにあたり、兎に角これで夜道も安心して歩けるかななどとあらぬ事を考えていたのだが、実際の彼女は見かけはチビで、しかも顔も童顔なので中学生にしか見えなかった。
心もとないって言うか、
頼りないって言うか、
拍子抜けして、
何となくいつも心配しながら見ている僕がいた。
最初のコメントを投稿しよう!