番外編:いってほしいが夢の中[姫初め20XX-初夢編]

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リーチとの初詣…超楽しかった。 雄飛と三人団子みたいに体寄せあって歩いた。 寒かったけど、なんかスゲェ温かかった。 そんで、そんでこれからリーチとイチャイチャするんだ! 一年最初の初イチャイチャ! あーあ、リーチ早く来ないかな。 …………。 ……。 あれ? オレ、夢見てる。 イチャイチャするハズだったのに寝てる。 あ、くそっ!オレなんで寝てんだ。 夢って自覚してる夢かよ…ああ…もう! てか、ここどこだ。 そうだ、リーチの部屋(マンション)で、リーチのベッドの上。 ベッドもシーツもカーテンも全部オレが選んだ。 ていうか、この部屋にあるものは、ほぼオレが選んだ。 モダンだけど、ちょっと明るい色あいをダークなカラーでしめて、かなりオシャレな部屋になってると思う。 部屋にあるものだけじゃない。 今目の前にぶら下がってるこのネクタイも。 「酒臭い…。」 「悪い。けど、しょうがないだろ。早く帰って朝陽に会いたかった。」 う……。 いつまで経っても、こんな素直なことを言われるとドキドキしてしまう。 ベッドに寝ていたオレの顔の横に両手をついて、リーチがオレを見下ろしている。 顔が赤い。 あまり強くないからと自制していても、仕事がらみだとどうしても飲まされるみたいだ。 大晦日に取引先と飲み会って、ホント最悪。 なんか組合がどうとか神事がどうとか言ってたけど、結局ジジィ連中が飲んだくれるだけみたいだ。 会社のなかから数名参加させられるらしくて、今年はリーチが行かされた。 リーチは母親のイメージだけで強制的に受験させられた国立大学の法学部に入学したあと、勝手に学部変更して地域経済を学んでいた。 そして地域ブランドの確立とか、地産地消とか、産業連携とかそんなのに興味を持って、結果なんだか漬物屋に就職した。 漬物屋なのに地域のニーズの掘り起こしと、世界進出とか、なんか難しい話をされる。 漬物屋って不況に強く案外市場規模がデカイらしい。 隣接する五つの地域特産の漬物を自社の統一ブランドで売り出してどうとか…。 そのときに生産者がどうとか…。 入社してずっと色んな仕事をやらされて、ちょっとづつ夢に近づいていたけど、今年ようやく営業企画をまかされ夢を現実にするために大きく動き始めた。 漬物屋なのに、なんか活き活きしていてすげぇカッコいい。 ニュアンスで仕事をしているオレとは大違いだ。
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