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「もちろん。けど、今はここまで。」
「オレにキスして、集中力高めたってこと?」
「そう言うと、なんだか朝陽を利用したみたいだ。ごめんな?」
「えっ、いや、いいっ!全然いいって!」
リーチに肩を抱かれたままオレは手をブンブンと振った。
こんな利用のされ方だったら、いつでも大歓迎だ。
「てか、オレも集中力高めたい。」
ちょっと媚びるような目で見ると『どうぞ』と言うようにリーチが首を傾けた。
その唇に、チュ…ムチュ…。
少しだけ、なぞるように唇に舌を這わし、ふんわりとした感触を楽しむ。
シャツのボタンに手を伸ばすとすかさず止められた。
「肩だけ。お願い。」
そう言うと、リーチが自分でボタンを一つ外してくれた。
その下のボタンはオレが外す。
肩の…この辺り。
ちょっと薄くなっちゃってる。
リーチはオレのもんだって印。
生肌に頬ずりをして、少し強めにチュっと吸い付く。
そしてペロリ…。
はぁぁ…美味しい。
そして、いい匂い。
ギュっと抱きついて、また滑らかな肌の感触を楽しむ。
「……ありがと、リーチ。」
オレは自分から離れた。
はああ。
ほんのちょっとイチャイチャしただけなのに、すごい満足感。
「大人な勉強は、試験が終わってからな?」
思いがけないリーチの言葉に、目ん玉こぼれ落ちるんじゃないかってくらいビックリした。
「おおおお、おう!そんな勉強ならいくらでもするっ!」
これは…あいつらに煽られた結果なんだろうか。
ぐっじょぶだ!ガキンチョ!
試験後に甘い時間が待ってるってだけでもやる気になるのに、さらにそれがリーチからのお誘いだって思うと、やる気がみなぎりまくるぜ!
「その前に…漢文の続きをしようか。」
「おう!」
ああ、さっきまでと同じ、わけわかんない漢文の解説も、すごーーーく甘く聞こえる。
今回の試験、愛の力だけで乗り越えられる気がするよ。
始如処女、敵人開戸、後如脱兎、敵不及拒。
始めは処女の如く、敵人戸を開くや、後は脱兎の如く、敵は拒ぐに及ばず。
うんうん?
孫子?
始めは処女の如く、後には脱兎(だっと)の如し。
えーっと?
つまり?
最初に恥じらう処女のようにおどおどしていれば、敵は油断して門戸を開くだろうから、兔のように素早く攻撃すれば、敵はもう防ぐことはできない。
ええ?処女のごとく?
リーチ、これって、つまり……。
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