番外編:雄飛と友だちと勉強といちゃいちゃと

2/11
229人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「危ない!」 家の前の道を横切ろうとして、怒鳴り声に身をすくめた。 そしたら、すぐに車がぶーんと通り過ぎた。 リーチくんに怒鳴られたのは初めてで、びっくりしたけど新鮮だった。 すぐに学校帰りの兄ちゃんと、リーチくんが駆け寄って来た。 「雄飛、家の前だからって慢心せずにきちんと左右確認しないと。」 「そーだぞ?『荷から出た鯖』って言うだろ?車は急に止まれないんだからな?」 兄ちゃんはリーチくんの真似をして、すぐに難しい事を言いたがる。 「なんだよ、サバが飛び出したんだったら荷物をちゃんと積んでなかったのが悪いんだろ?おれに関係ないもん!ね、リーチくん。」 リーチくんの目がキョロっと動いて、少し困り顔だ。 兄ちゃんが変な事言ったときには、いつもこんな表情をしてる。 兄ちゃんもそれに気付いて少し焦ってる。 「俺は雄飛が怪我をすることも心配だし、雄飛をひいてしまった人だって、可哀想だろ?」 「え?なんで、ひいた人が悪いんじゃないの?」 「普通の人は、恨みもない人に怪我をさせたりなんかしたくないんだよ。雄飛をひいてしまったショックで、もう車に乗れなくなる人だっているかもしれないだろ?雄飛が怪我をしたら、ひいた人も含め皆が悲しいんだ。」 「あ……そう…なんだ……。うん、気をつけるね。」 兄ちゃんに色々いわれると腹が立つけど、リーチくんに言われるとそうだなって思う。 なんでかな。 おれはリーチくんが大好き。 兄ちゃんみたいにスケベな感じで好きなわけじゃないけど、大好き。 リーチくんはすごい。 色々知ってて、やさしくて、かっこいい。 おれのいっつも一緒に遊ぶ友だちもリーチくんが大好き。 兄ちゃんと同じくらいバカなのに、ウチに遊びに来た時にリーチくんがいると、すぐに話したがったり、遊んでもらいたがる。 世の中にはリーチくんの事を嫌いな人なんかいないんじゃないかなって、おれは思うよ。 兄ちゃんには内緒だけど、その友だちと一緒にリーチくんのホッペタにチュウをしたことがあるんだ。 ソファの真ん中にリーチくん、左右におれと友だちが座って、せーの!で、チュッってするイタズラ。 えっとね、リーチくんがすごく慌てて面白かったから、何回もしようとして、リーチくんに怒られた。 でも、恥ずかしがって、困って怒ってるだけだから、全然怖くなかったよ。 友だちはね、ちょっとだけ本当にリーチくんのことが好きみたい。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!