①デアイ

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 この結婚相談所の会社では、通常の面談は2階の社内の個室を使うんだけど、追加料金を支払えばその会社が経営している1階のカフェで本人以外も同席して会うこともできる。    そのイタリアン風のオシャレなカフェはまだ夕食時間前だというのに、すでに人で溢れていた。  ドアを開けると「いらっしゃいませ~」と声をかけてくれた受付のお姉さんに、 「あの~田中なんですが…」  名前を名乗るとあぁと彼女は笑顔で頷く。 「あちらの奥のソファー席です。如月様はまだ来られてないのですが、お連れ様はお着きになられてます」 「そう…ですか…」  そっとその席に視線をやると――そこには学生服を着た高校生がいた。  如月さん抜きでまさかの弟君と二人っきりの展開に気が重くなる。  って高校生にビビってちゃいかんいかん。  ここに私の将来がかかってるんだからしっかりしなくちゃ。  ヒールを響かせてその席まで行くと、スマホでゲームか何かをしていた彼が顔をあげた。  おぉ~さすが如月さんの弟君。お兄さんに負けずと劣らずのイケメンだな。  モデルをやってるって言われても信じちゃいそう。 「どうも初めまして~」  とびっきりの営業スマイルで彼の正面のソファー席に座る。  彼はこっちを値踏みするように見てきた。  その視線は友好的ではなくて好戦的な感じで…。  やっぱりブランコン兄弟だという担当さんの噂は本当らしい。
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