103人が本棚に入れています
本棚に追加
月が替わったばかりの第一週目の水曜日。
私は早めに仕事を切り上げて、待ち合わせ場所のカフェに向かっていた。
水曜日は早帰り日として設定している企業も多く、私が勤めている保険会社も水曜日には定時で帰れる。
通りがかったお店の窓に映った自分の姿を再度確認する。
「ん~…」
会社のトイレで化粧直したからまつ毛もふさふさ。
パーマの当たった茶髪の髪もヘアスプレーでくるくる。
香水だって付け直したし。
うん。バッチリだな。
「弟君と初顔合わせなんだから気合い入れなきゃな」
アラサーの割には若く見えると言われる外見と服装をチェックして目的の場所を目指す。
通いなれた道筋は迷うこともなく、目当ての場所についた。
いつもならその足は二階の結婚相談所に向かうところだけど、今日は違う。
その下のカフェで待ち合わせをしているのだ。
そう、私は結婚相談所に登録し、婚活をしているアラサー女子である。
名前は田中朱里(しゅり)と名乗っている。
最初のコメントを投稿しよう!