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「え?あ、いえ…そこまでして貰わなくても。自分達だけで行けますから…。な、山田」
「お、おう」
そうやって僕らが言うのを聞いてコオロギは軽く溜息を吐いて言った。
「貴方達は分かっていないようだけど、既に貴方達は我社の物なのよ。我社の為にバグを駆逐して貰わなければならないの命懸けで。一泊の恩が高く付いたかしら?そんな事ないわ。わたし達人間はバグが存在する限りそれに怯えて生きていかなければならない。そんな突然湧いた存在に怯えて暮らすなんて考えられないじゃない。少なくともわたしはそう思うわ。
それに彼奴らは人間を滅ぼそうとしているみたいだし、遅かれ早かれ立ち向かわなければならないのよ。だから貴方達は寧ろ我社に入る事が出来て幸運だわ。何故なら多数で駆逐する方が生存率が高いに決まっているからよ。
という事で我社の戦力である貴方達二人をバグの脅威にむざむざ晒す訳にはいかない。なのでわたしも同行します」
コオロギの猛口に僕達は従わらずを得ないようだ…。本当の所は僕達を監視したいだけではないのか?油断ならない…。だが、コオロギ一人なら何とかなるだろう。…バグに襲われたという事にして殺してしまえばいいのだから。
そう、実際僕達はバグだ。
「そこまでご心配して頂いていたのですね…。ありがとうございます。ではご一緒して頂いてもよろしいですか?」
「よろしくてよ」
「お、おい…。哀川…」
「山田。此処まで僕達の事を考えてくれているのだ。お言葉に甘えさせて頂こうよ」
僕はそう山田に微笑んだ。が、何を思ったのか彼は怯えたような表情をした。大丈夫だよ、山田。僕に策があるのだから。
「…でも、そうね…わたし一人では心許ないから他の人にも頼んでみるわね?山田くんはまだ完全では無いと思うからこの部屋でくつろいでて」
彼女は冷たい目を僕に向けて微笑み、僕達を残して部屋を出て行った。
不味いな…。彼女一人なら何とかなるが…。まあ一人くらい増えるならばどうにかなるだろう。こちらには能力で分があるのだから。
「哀川…。お前、さっきからすげぇ恐い顔してるけどどうかしたのかよ?」
「…そうかな?いつも通りだと思うけど」
「大丈夫かよ…?さっきも奇妙な微笑するしよ…」
「うーん…何だろう?恐らく山田が一度死んだ衝撃がまだ残っているのだよ」
「死んでねぇよ!…それで同行させていいのか?」
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