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佐藤は拳を引き抜いて言った。
「説明しよう!綿棒真剣とは真剣に綿棒を物体に突き刺す技である。それにより人間は普段使わない隠された力を引き出す事が出来るのだ!」
佐藤の手の先に確かに綿棒が握られていたのだが、途中で折れていた。
「…あの、佐藤さん。綿棒折れてますけど…」
「………説明しよう!綿棒真剣とは綿棒を真剣に持つ事によりその握り方から、人智を超えた力を発する事である!」
と、変わらずの標準語で言う。深く問うべきでは無いのか?…それにしても人間の数倍の能力を持つバグを一撃とは…。参ったな…。僕達の手に負えないかもしれない。
そんな事を考えていると彼方此方から声が聞こえた。「哀川くん、ちょっと話があるんだけど…」
「きたきたぁー!」
と、北村が叫ぶ。彼方此方から蟷螂頭のバグが出てきてゆっくりとこちらに向かって来る。いったい誰なんだ?何のつもりだ?
「あっ!避けやがったな?てめぇ、おれのナイフを避けやがったな!?」
北村はナイフを避けられて癇癪を起こしているが、構わずバグは北村へと走り寄る。
「や、やべぇ!おれ、やべぇ!」
笑う北村に佐藤は何かを投げて言った。
「北村ぁ!これを使うんや!」
「こ、これは…。よし!」
蟷螂頭が彼の目前に立つのと同時に彼は蟷螂頭の頭部を破壊した。そして僕の方を向いて言う。
「説明しよう!綿棒真剣とは(以下略)」
何なんだ?こいつらは?バグ以上に強いじゃないか。いったい何がどうなって…?綿棒真剣?そんなふざけた技があって堪るかっ!しかし、しかし何故強いのだ…。
「む…危ない哀川!」
そう言って泰三が僕の隣に現れたバグに向かってライフルを振り下ろす。が、ライフルは砕け散った。
それにムカついたバグは「いったいなぁもう…」と言って顔面の横から、鎌のような物を出して泰三に近付く。いいぞ、これで一人目だ!
そう思ったのも束の間。蟷螂頭の頭部は砕かれていた。
泰三は折れた綿棒を持って僕にニヤリと笑った。
そんな事が数回続くと太鼓の音は終わり、コオロギは倒れている化物の数を数えた。
「よくやったわ。ちょうど五十。これで始末は終わりね」
「おお?そうかっ!これで心配無用やな」
「え?それってどういう事です?」
「ん?何って裏切者…や、無くて!この辺りのバグの数やがな!」
これで、バグは殲滅!?ば、ばかな…。どうすれば…。
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