悪夢の欠片

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夕闇迫る森の獣道を、背の高いたくましい体つきの若い男が急いでいた。 男は、この先にある小さな洞窟の前に夜営を張る冒険者の一人だった。 追加の薪と、ついでに夕食を調達してくると勇んで出たまでは良かったが、獲物を深追いしてすっかり帰りが遅くなってしまった。 これでは仲間から文句を言われ放題か、あるいは、彼を放って先に休んでいるかもしれない。 どのみち、ロクな出迎えじゃないのは目に見えている。 彼は、自分の失敗を嘆き、ため息をついた。 と、男は近付くにつれ、濃くなる血の臭いに気づいた。 それ自体は、不思議な事ではなかった。 魔物の襲撃を、迎え撃ったとも考えられるのだ。 簡単にやられるような仲間ではないと思いつつも、何か胸騒ぎがして、彼は駆け出した。
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