また会おう

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 ふんわりと暖かい。  ここはどこだろう……。  霧がかかってるみたいで、周りを見回しても白一色。 どうしてここに居るんだっけ?  確かおばさんちで眠ってしまって。 ――――ここはどこなの?――――  僕が幽霊になって、眠る事はずっと無かったんだ。 たくさん動いても、お腹も空かない。眠くもならない。そんな毎日だった。  幽霊ってそう言うものなんだと思ったんだ。 どこにでもいけるし、通り抜けられないところもない。 空も飛べるし、電車もバスもいらないくらい早く動けるんだ。 ただ――触れないんだ。触っても貰えないの。 寂しかった――――。  今まで眠くならなかったのに、突然眠たくなって。 そうだ!その前に触れなかったのに、ちょっとだけ触れたっけ。 役に立ったかな?  おばさんたち怪我をしていたけど、大丈夫かな? 僕が幽霊になって、居なくなったパパとママ、お姉ちゃんを探してあちこち飛び回ったけれど、僕は捨てられてしまったから見つけられなかった。  寂しくて、悲しくて優しかったおばさんのおうちに戻ったんだ。 けれど、おばさんには僕は見えなくて。  座り込んでいた僕は、立ち上がって霧の中を歩いてみる事にした。  歩いても、歩いても真っ白なままで何もないところだった。 ここはおばさんちじゃないね。まだ夢の中なのかな? でも、とっても暖かいんだ。怖くもない。  ゆっくりゆっくり、僕は思うほうへ歩いていった。  飛んだほうが早いかなと思って、飛ぼうとしたけど前みたいに飛べなくなってた。仕方ないから歩いた。とっても、たくさん歩いた。  どんなに進んでも景色は変わらない。 真っ白な霧の部屋の中を歩いてもう進まないほうがいいのかな?と思ったときだった。 「ぼうや。やっとついたね。大変だったろう?」  大人の男の人の優しい声がした。  優しい声のするほうを見ると、ぼんやりと大人の人の影が見えた。  ぼくは嬉しくなって駆け出した。 幽霊になってから、ぼくを見つけてくれた人は居なくて、嬉しかったんだ。 「おやおや。そんなに走らなくても大丈夫だよ。ここで待ってたんだから」 少し息が切れるくらい走って、その声の男の人に会えた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加