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ふんわりと暖かい。
ここはどこだろう……。
霧がかかってるみたいで、周りを見回しても白一色。
どうしてここに居るんだっけ?
確かおばさんちで眠ってしまって。
――――ここはどこなの?――――
僕が幽霊になって、眠る事はずっと無かったんだ。
たくさん動いても、お腹も空かない。眠くもならない。そんな毎日だった。
幽霊ってそう言うものなんだと思ったんだ。
どこにでもいけるし、通り抜けられないところもない。
空も飛べるし、電車もバスもいらないくらい早く動けるんだ。
ただ――触れないんだ。触っても貰えないの。
寂しかった――――。
今まで眠くならなかったのに、突然眠たくなって。
そうだ!その前に触れなかったのに、ちょっとだけ触れたっけ。
役に立ったかな?
おばさんたち怪我をしていたけど、大丈夫かな?
僕が幽霊になって、居なくなったパパとママ、お姉ちゃんを探してあちこち飛び回ったけれど、僕は捨てられてしまったから見つけられなかった。
寂しくて、悲しくて優しかったおばさんのおうちに戻ったんだ。
けれど、おばさんには僕は見えなくて。
座り込んでいた僕は、立ち上がって霧の中を歩いてみる事にした。
歩いても、歩いても真っ白なままで何もないところだった。
ここはおばさんちじゃないね。まだ夢の中なのかな?
でも、とっても暖かいんだ。怖くもない。
ゆっくりゆっくり、僕は思うほうへ歩いていった。
飛んだほうが早いかなと思って、飛ぼうとしたけど前みたいに飛べなくなってた。仕方ないから歩いた。とっても、たくさん歩いた。
どんなに進んでも景色は変わらない。
真っ白な霧の部屋の中を歩いてもう進まないほうがいいのかな?と思ったときだった。
「ぼうや。やっとついたね。大変だったろう?」
大人の男の人の優しい声がした。
優しい声のするほうを見ると、ぼんやりと大人の人の影が見えた。
ぼくは嬉しくなって駆け出した。
幽霊になってから、ぼくを見つけてくれた人は居なくて、嬉しかったんだ。
「おやおや。そんなに走らなくても大丈夫だよ。ここで待ってたんだから」
少し息が切れるくらい走って、その声の男の人に会えた。
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