二幕 ④最強と最狡の出会い

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 「ちょっと!」  そこで、傍観者となっていた者の声が割って入る。  「河南尹様だかなんだか知らないですけど、そんな言い方あります? チョウちゃんは奉先くんの友達だよ!! 貴女が何者だろうと、そんな言い方はさせない! 許さない!! チョウちゃんと、奉先くんを、私の友達を、侮辱するな!!」  張蝉だった。  袁術の不思議と確信を持った言い方を、震えながら聞いていた、王蝶の前に立ちはだかり、鋭い目を、袁術に向ける。  「わかっておる」  それに対して、袁術は申し訳なさそうに返した。  「済まぬがの。時間がないのじゃ。こうしてお主に接触できるのは、今この場だからこそ。お主が帰り、父上殿に裁可を仰いだ時点で、計画が露呈しかねない。そんな相手と、妾はことを構えておる」  丁布は絶句する。  そんな嘘みたいな相手が、いるものなのか。  「どちらにせよ、これか失敗に終われば、後漢は無事では済まぬ。お主の父上殿のいる場も、脆く崩れさる」  袁術は目をカッと見開いた。  「わかるか。この選択は、お主が選び取った者たちも巻き込んだものなのじゃ! 生きている限り、自分の意志がないなどと、そんな甘えは通用せん!!」  「………っ」  「お主の力を買してくれ。お主の力を余すことなく発揮できる場を提供すると約束する。猛者と戦えるし、軍も率いれる。父上殿が心配か? なに問題あるまい。あの『風読み』の丁建陽(けんよう)殿であれば、後漢さえ残れば、波が高かろうと泳ぎきるじゃろ」  袁術の言葉に、誰もなにも返せない。
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