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いつの間にか現れた男の姿に、張蝉も王蝶も目を剥く。
「姫さん。バレてたみたいだぜ」
「ゆーげんのうつけめ」
「おれのせい!?」
そんな男の後ろから袁術も顔を出す。
「で?」
丁布は放っておくと延々と漫才をしだしそうな空気を感じて機先を制す。王蝶と張蝉が二人揃うとなかなか話が進まないのと同じだ。
話を振られて、袁術が丁布に向き直った。
幼い双眸からは、その年齢に似つかわしくない知性を感じる。
丁布は思わず体を強ばらせた。
「「っ!!」」
それを二人の少女が感じ取った。
「てふて~ふ! 時代は幼女ではなくお姉さんキャラだと思うんだ~!!」
「そ、そんなっ! ずるいです、王蝶さん! 奉先くんっ! 同い年キャラの方が時代の需要があるよね!?」
「どの時代も来ねぇよ」
後ろのアホ台詞に振り返らずに答える。危うく、目の前の少女の雰囲気に飲まれるところだった。
二人が空気を読めずに騒いでくれたおかげで、丁布は自分を持ち直すことができた。
「見つめ合ってますよ!?」「まさか、手遅れだというの~!?」
だから後ろのバカ二人の戯れ言は聞こえない。
「誰だ、あんた」
「申し送れたの。妾は袁公路(こうろ)と申す」
丁布、王蝶が絶句した。
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