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「ちけーはやはり失敗したか」
袁術は俄かに騒ぎ始めた洛陽の一区画、蹇碩の邸宅にいながら、その情報を掴む。
「ならなんで任せたよ」
呆れたように言う丁布の傍には、既に紀霊、張勲もいた。
「あれに捕らえられるなら、それまでの奴よ。さて、お主の主はどう動くかの?」
袁術の視線の先には、口を半開きにした唐周が転がっている。
片腕を切断されていたが、止血処置は既に終わっており、意識も戻っていた。
(ゲンギ様。ダメです。ダメ。もう私は捨て置いて下さい)
袁術を強い眼で睨みながら、唐周はそう念じることしかできなかった。
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