二幕 ⑤救出大作戦

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 (((………………)))  無。  集合の号令をかけられた、三十人の配下の兵たちは、無言で敵に捕まった自分たちの上司を見つめていた。  「あー、そこの君。武装を解除して装備を私の後ろの者に渡したまえ」  「えーと、隊長?」「つか、捕まるとかウケる」「いやさ、もうこれ隊長ごと斬らね?」「むしろ隊長を斬ろう」「俺らは姫様に仕えてるんであって、隊長に仕えてるわけじゃないんだが」  「黙らんか!!」  閻象がざわつく兵を一喝する。  「下らぬ議論に時間を割くでない! 姫様はこの者を捕らえよと仰せだ。連れて行くのに違いはあるまい!!」  「ちっ」  「誰だ、今舌打ちした奴はぁ!!」  一人、指名された兵が自分の装備を持って出て来る。  「着せろ。妙な真似はするな」  馬元義は、閻象に短剣を突きつけながら、その装備を身に纏った。  着せている最中に、その兵は、  「あんたこそ、これ以上、隊長を傷つけてみろ。ただでは済まないぞ」  と、馬元義にだけ聞こえる声で呟いた。  (なんだかんだで好かれてるのか、この男)  少し驚きながらも、馬元義は閻象に先導されて、蹇碩の邸宅に向かった。
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