幕間 その四 死国志演義

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翠蓮 「………くーうん。………あの人、だれなの?」 佐久彦「えーと、なんでここにいるのかはわからないが、イリアはオレの大本の『別アカウント』ってやつだ。世界の造物主の一人で、前回の死国志で使った魔術が横行する世界観を管理している。ただ、こいつは作家としては失格で、物語を綴ることをしない。オレに物語を話してそれをオレが書く、っていう形で作品をあげている状況だ」 蔡炎 「………え、あれ、女なんだけど、あんた、男、よね?」にゃ、にゃ? 佐久彦「オレの大本は男だよ。イリアはオレ以上に作品に入り込んだ造物主でな。たしか、天界に神として君臨している意思無き力の塊が意思を持った形なんだよな。自分の管理している世界において、天界にまで至る存在に対して、『真理』を授け、バランスブレイカブルな力を授けるシナリオブレイカー生成装置としての役割も持ってる。こいつが女、しかも少女としての姿をとってる理由は、こいつが管理している世界の主人公と呼べる男に惚れ込んだからだ。性別を持っていなかったのに、自分を女として定義して、ヒロイン枠を狙った挙句、主人公からは見向きもされなかったという爆笑展開を作り上げた神だよ」 イリア「佐久彦? 弟のくせに姉にそういうこと言うの? せっかくこっちに来てあげたのに、忠告に来てあげたのに、そういうこと言うの? それに、隆(たかし)君は一途なのよ。隆君が死んだらわたくしのもとに来てもらって永劫の年数を共に過ごすんだから!」 佐久彦「ん? でもたしか、隆ってオートマターになって半永久的に動き続ける世界の救済装置になるんだろ?」 イリア「………………………………」 佐久彦「しかも一途って言ってるけど、あいつって平成の御代において奥さん二人作ってハーレム形成をしてるんだろ?」 イリア「………………………………………………………………」 蔡炎 「なんかとんでもないやつね」ニャー
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