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「さて」
丘上に一つの軍団が布陣した。
しかし、その姿は軍団と呼んでいいのか疑問が湧くほど貧弱なものだった。
総勢三百。
それがこの軍団の構成人数だった。
その小さな軍団が丘上から見下ろす先には、千ほどの兵力を有した軍が見えた。
あれですら、敵の小隊未満の部隊だ。
しかし、そんな圧倒的な兵力差を実感しながら、丘上の軍団を率いている馬に乗った男は、気にせずに笑った。
「さぁ、全員、この乱れた世に、名乗りを上げるぞ!!」
声高に宣言し、突撃命令を出そうとして、
「名乗りはなんて上げるんだ? この軍団の名前は?」
仲間の一人がそう言う。
「え、玄徳(げんとく)軍団じゃダメ?」
「「「ダサい!!」」」
幽州に蔓延る九の賊団を併合する事に成功した劉備(りゅうび)は、出撃直前に軍団名を考えなければならなくなった。
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