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簡擁(かんよう)が溜息を吐く。
事実、敵が近づいてきている。これ以上揉めれば、高所の利を失いかねない。
「龍は劉に通ずとして、この軍団の凄みである騎馬隊の字も取り入れて、『龍騎団(りゅうきだん)』ってのはどうだ?」
「「「………………」」」
「あれ、ダメだったか?」
「「「………かっこいいじゃん」」」
「うわーん、バカばっかだー!!」
甘英が泣き声を上げ、簡雍が呆れるように溜息を吐く。
「よーし、そいじゃあ、かっこつけますか」
そんな幼馴染たちに苦笑して、劉備は細い二本の剣を鞘から抜いて天に掲げる。
「乱れた世に正義の名乗りを上げる。我等、龍騎団。賊徒よ。義勇の刃をその身に受けろ! 龍騎団、行くぞ! ウー。青衆(せいしゅう)、愚馬(ぐば)を率いて左から回り込め。ヒー。雷万、皓龍(こうりゅう)を率いて右からだ。蘇張(そちょう)、列把(れっぱ)、沌狼(とんろう)、弓を放て!!」
敵軍―――黄巾軍の千人が丘上から飛来する弓矢に、進軍の足が鈍る。
「今だ、憲和! 鐘を鳴らせ!」
その鐘の音と同時、伏兵として状況を見守っていた臥顎(ががく)が敵の背後から鬨の声を上げ攻めかかる。
浮き足立った所に、丘を左右から降りていた関羽率いる歩兵部隊と張飛率いる騎馬部隊が、タイミングを絶妙にずらしながら襲いかかった。
奇襲の上、背後と左右からの攻撃だ。黄巾軍は相手の正確な人数が測れず、実際よりも多い数に襲われていると錯覚する。
黄巾軍は完全に混乱の最中に追い込まれた。
「よっしゃ、こっちが少数だって気づかれる前に指揮官をしとめるぞ! 蟒蛇(ぼうじゃ)、オレに続け! 出るぞ!!」
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