第3話【会談】

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メイフィス……。聖王が連れてきたクラスレジェンドの1人だったか。ルシファーの言う通り、驚異そうではない。 「私の名をご存知と言うことは、聖蓮の方ですわね?」 「はい。軍事関係と陛下の第2秘書を兼任しております」 眼鏡を上げながら、自己紹介を簡単に済ますメイフィス。さすがに一般人が通る入り口で、自国の情報は公開したくないだろう。 メイフィスは手で奥の階段を指し示し、 「御方が貴女様との面会を楽しみにしております。どうぞこちらへ。ご案内致します……おや?」 と、私の後ろの天使達を交互に見やった。 「そちらのお2方は……どうやら人ではないみたいですが。高位の天使とお見受けします」 クラスレジェンドなだけあって、慧眼は冴えているみたいだ。この反応から察するに、大天使だとまでは見抜けていないみたいだが。 「それを2体も。噂に違わず大器をお持ちのようだ───っと、失礼。どうぞこちらへ」 早々に雑談を切り上げ、メイフィスは軽快な足取りで案内を始めた。 この劇場の構成だが、1階と2階が一般席、3階が特別席という構成になっている。 だが私達が案内されている席は4階。関係者以外立ち入り禁止の扉を抜け、階段を上がった先こそ、劇場の最上階である。 一般に配布されているパンフレットに案内図が載っているそうだが、4階は明記されていない要人御用達の席だ。席というより、造りは部屋になっているらしいが。 道中、メイフィスが教えてくれた。聖蓮の重役達も4階をよく利用しているのだと伺える。 4階に向かう階段。人の気配が全くなくなり、メイフィスの空気も変わった。 「貴女様のお噂は私の耳に入っておりますよ。なんでも、内乱での死者が0名だったのは、水面下で貴女様がご健闘をなされたからだと伺っております」 「それは私と同じ志を持つ仲間達がいてこそですわ。それに、私はただの補佐役。大した事はしておりませんの」 「ご謙遜を。私は話を聞き、どのような傑物なのかと興味が尽きる事はありませんでしたが……まさかこれほどまでの麗人とは。貴女方の存在がこれまで知られていなかったのが不思議なくらいですよ」 言って、メイフィスは立ち止まり、振り返った。 「到着です、佐々木様」 眼前に分厚い扉が広がる。分厚いのは遮音の為だろうが、それだけではない。
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