第10話【Lv.7の抵抗】

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「随分とまあ、冷静なのね」 言いながら、焉藤シュウカはこちらに背中を向ける最上ヤスユキに近付く。 「一応戦場は潜ってきているからな。吸血鬼が出たくらいで驚いてたら生き延びれんよ───っ!」 振り返る最上ヤスユキの腰から、一筋の光が放たれた。 それは刀身から溢れた光。最上ヤスユキは隙を付いて首を狙った一撃だったが、 「……あら、気付いてたのね」 さも当たり前のように止められた。こちらを馬鹿にするかのようにスレスレの所で止めている。しかも右手の爪で。 「いつから気付いてたの?」 「お前が部屋に入った時からだ。明らかに雰囲気が人間のそれではなかったぞ?」 「流石はクラスレジェンド、と言ったところかしら? まあいいわ」 そう言って、焉藤シュウカは右手に力を入れて刀身を押し返し、相手との距離を取る。 「死ぬ準備は出来てるかしら?」 「お前こそ身辺整理は平気か? こんな場所に姿を見せてただで帰れるとは思わないよな?」 「これはご丁寧にどうも。でも逃げなくていいの? まだ生きる伝説の称号貰ったばかりなんでしょ?」 「まさか吸血鬼に心配されるとは思わなかったぞ。安心しろ。俺の眼は相手の力量を測れるだけじゃない」 「あらまぁ。それは気を付けないとね」  ☆ 俺の視界は、黒で埋め尽くされていた。 何が起きているのか全く分からない。……いや、理解したくない。この現状から逃げたい。夢だと思いたい。 認めたくない。 人が 死んでいる 今もなお 沢山の 簡単に 呆気なく 小虫のように 殺されている たった1人の吸血鬼に 吸血鬼は逃げ惑う人達に狙いをつけ、生を奪うのを楽しむかのような奇声を上げていた。 「ははははははーーーっ! 逃げろ逃げろ! もっと悲鳴を上げて俺を楽しませろ!!」 聞こえて来るのは、肉が裂き骨が絶たれる残酷な音と耳を塞ぎなくなる無情な断末魔。 そして、儚く散る命の灯火。 光が消える瞬間。 「おぅっ……」 俺は床に座り込み、恐怖に怯えて口を抑えていた。気分が悪い。内臓が出てきそうだ。 いったいどれだけの人が死んだ? 吸血鬼にどれだけの人が殺された? 俺も殺されるのか?
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