終戦

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大した男だ。まだ顔を合わせて数分だというのに、瞬時に状況を理解した。 「……赤羽、詫びよう。少し語弊があった。俺は話し合いにきたんじゃない」 そこで台詞を止めると、赤羽が急かすように言った。 「なんだよ?」 「面白い格言がある。───『争いは同じレベルでしか起きない』そうだ」 「……あ?」 赤羽の金の瞳に血の色が走る。 「俺の要求は1つ。大人しく軍を引け。今だけは対等に接してやる」 「……ハハ」 赤羽が額に手を当て空を仰ぐ。 「アーッハッハッハッハ───!!」 木々を揺らす甲高い笑い声が天を駆けた。 「こいつぁ面白ぇ! 粋の良い啖呵じゃねえかよ、兄ちゃん! つまりだ、オレらとテメェらとじゃあ喧嘩にすらならねえってか? 吸血鬼が4000もいんだぜ!? 王都の周りに待機させてんのもテメェらが相手してくれんのか!?」 「あーあ。スイッチ入ったみたいじゃぞ?」と後ろでミカエルがぼやく。 「言った筈だ赤羽。争いにはならない。それと“テメェら”じゃなく、俺1人で相手してやる」 「なんでそうヌシは攻撃的な言い方をするんじゃ。穏やかに出来んのか?」 ミカエルが苦言を呈してくる。 「まあそうなんだが、こっちの方が手っ取り早そうだからな」 最初は俺も穏やかに行きたいと思っていた。が、吸血鬼達は話し合いじゃ止まらなかったろう。『戦争しに来た』と赤羽は言っていた。平和的解決は初めから望み薄だ。 「嵐が来る前に家に帰るのは当然だと思うが?」 俺は更に挑発を重ねる。赤羽は俺を異質だと感じ取ったが、 「オレを見くびり過ぎちゃあいねぇか? ……オレは嵐側だ」 負けると思っていない。吸血鬼の目的は王都陥落と政権の獲得だ。負け戦にしてはならない。 赤羽がおもむろにリボルバーを取り出す。体格のせいでリボルバーがオモチャにしか見えない。あれが赤羽の武器だろうか? そうなるとあの筋肉の山は飾りになる。まあ戦い方はそれぞれだ。 「テメェの空威張り、買ってやるよ。そろそろ良い時間だ、丁度いい。───おい、フリッツに連絡しろ!『王都に攻めろ』ってな!」 他の吸血鬼に命令を飛ばし、リボルバーに装填を始めた。
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