「小さな願い」

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 どうしようもない女と付き合ってすぐ別れたり、出会ってすぐの女とやって後悔しては、僕のところに転がり込んでくる。  1人の女と続いたためしがない。  気の向くままにふらふらとつまらない恋を簡単に燃え上がらせては、すぐに飽きて燃え尽きる。  そのくせ人一倍傷つきやすくて、その穴を埋めるためにまたすぐに誰かと繋がろうとする。  つまり、誰かがいなきゃ生きていけない。  どうせ今回だってそうなんだろう。  その度に僕は密かにずっと用意していた優しい慰めの言葉を君に与える。  お菓子の家に棲む魔女が迷い込んできた子供に、甘いお菓子を山ほど食べさせて太らせてから食べるみたいに。
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