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主人公は高校二年生の男子。
彼は生徒会長を務め、品行方正、眉目秀麗、文武両道と、絵に描いたような秀才であった。
しかしそれは彼自身が望んだわけではなく、周囲から望まれた結果であり、
秀才として持て囃される日々は彼にとって苦痛であった。
だからといって現状の役割を投げ出さず、彼は「自分の人生は他人が決めるもの」と結論付け、生涯役割を与えられることを受け入れていた。
彼が今のような人物となったのは、彼の家庭環境が大きく起因していた。
彼が幼い頃に父親は事故で植物人間となり、その現実に気が触れた母親は、息子である彼を夫と全く同一の物に作り上げ、夫の代替品にしようとした。
そのために過激な教育を繰り返し、彼も「母親が喜ぶなら」とその教育から逃げ出さず、全てを受け入れていた。
そんな彼だが、高校二年の今に至るまで感情を爆発させることもなくまともにやっていけたのは、母親すらしらない、鬱憤を晴らす方法があったからだ。
彼が毎夜日課としているジョギングコースの途中にある古びれた神社。
そこに聳え立つ、樹齢100年以上と噂される御神木、その幹に手をかけ、鬱憤を放っていた。
その日あった嫌な出来事、辛い出来事、そして、渾身の右ストレート、左ストレート、止めの右膝。
それら全てを御神木にぶちまけることで、彼は苦痛に耐えながらもなんとか毎日を凌げていた。
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