「火曜日、恋と鋏(Tuesday, I'm in love)」

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 散髪後、ちょっと待ってて、と航くんは奥から麦茶を持ってきた。 「喉乾いてるだろ?」  と麦茶の入った冷たいコップを手渡される。  変に緊張して喉が渇いていたので、一気に飲み干した。  航くんはタブレット端末も持ってきて、お店のサイトを開いて僕に見せた。 「このカット、俺がやったんだよ」  栗色の髪のふわふわしたかわいい女の子の写真が何枚か続いた後、一番下に航くんの名前と写真が載っている。  きちんとした髪型とシャツで、今目の前にいるTシャツとジーンズとサンダル履きの航くんとは別人のようだ。  僕には「凄いね」「かっこいいね」なんていう簡単で単純な褒め言葉しか出てこない。  子供の頃から知ってる航くんなのに、何だか遠い世界の人みたいに感じる。  TVに出てる人を見るみたいな、変な感じ。  なんでこんな立派な人が僕に構ってくれるのかな……。
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