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次の火曜日、学校帰りに中山理髪店に寄った。金色で店名が書かれた重いガラス戸を開けると、ガランとベルの音が鳴る。
「おばさん、航くんいる?」
「ああ、今呼ぶからちょっと待っててね」
おばさんに呼ばれて店の奥から出てきた航くんは、僕の顔を見てニヤニヤと笑う。
「やっぱり来たね」
こちらへどうぞ、と接客の言葉だけは丁寧で、あとは普段の航くんのまま。
髪流しますねって首にタオルを巻かれたり頭をシャンプー台に置かれたり、なんだかされるがままになってるな、と思う。
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