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「そうですね…。」
もう5年も経っているから立ち直っていると…
そんな勘違いをしていた。
他人から見たらもう5年、大切な人を失った人にとってはまだ5年、そんな簡単な事にも気付かず気の利いた言葉の一つも出なかった。
『ありがとうね。この子もきっと喜んでいるわ。』
代わりに安城のお母さんは困っている俺に話を続けてくれた。
『三谷くんは卒業してから結依と仲良くしてくれていたのかしら?』
「あ、いえ…そういうわけでは…。
大変失礼な話ですが、結依さんがお亡くなりになったのをつい先日知りまして…。
是非、会わせて頂きたいなと…。」
しどろもどろになりながら自分なりに言葉を選んだ。
『そうだったのね。わざわざありがとう。
三谷くんみたいな優しい方とお付きあいしていたらこんなことには…。』
そう言ってお母さんは『うぅっ…』と泣き出してしまった。
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