妃殿下の想い

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今更、どんな顔して臨めばいいのよぉー! 心の中で絶叫する。 ああ、このまま時間が止まればいいのに。 窓へと視線を向けると、窓ガラスに映った自分の姿が目に入った。 お世辞にも美人とは言い難い十人並みの顔。 邪魔になるので公式な場以外では、いつも無造作にまとめている髪が、今は背中へと緩やかなウェーブを描きながら流れている。 そして衣服。 これがしきたりなんだとわかってはいるけれど、白くて薄くてピラッピラの服。 はっきりいって、まったく服としての機能を果たしていない。 これを着るくらいなら全裸の方がまだ恥ずかしくない気がする。 そもそも、なんで今更こんなことしないといけないのよ! いや。勿論、必要なことだとはわかってるわよ? だけどね! これまでさんっざん兄妹(姉弟?)みたいに育ってきて、今更どんな顔して子作りしろっていうのよぉー!
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