妃殿下の想い

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「失礼致します。…………妃殿下。何をなさっておいでなのですか?」 侍女が呆れたように冷たい眼差しを私へと向ける。 それも仕方ない。 だって、もし私がこの侍女の立場だったらきっと同じような反応をするだろう。 「さ、寒かったのよ!悪い?」 身体にカーテンをグルグル巻きつけた状態で逆ギレする私は最高に格好悪いと思う。 でも、こうなったらもう後には引けない。 「何を子供のようなことをなさっているのですか?早くそこから出て来て下さい」 「イヤ!絶対にイヤ!」 カーテンを挟んで私と必死の攻防を続ける侍女に王子殿下が声を掛ける。 「君はもう出て行っていいよ。あとはこちらでやるから」 鶴の一声で侍女が退室し、王子殿下と私だけが寝室に残された。
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