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纂が陸巳のことを、腹の底から好いたことはなかった。
小学校何年生かのこと。
そのとき彼らのクラスには、一人のいじめられっこがいた。
その存在は生徒たちの間では周知のものであり、いわばクラス公認のいじめられっこであった。
しかし、いじめっ子グループの手口は巧妙で、当時から正義感の強かった纂が、いじめを阻止しようと目を光らせようにも現場を押さえられなかったのはおろか、間抜けな教員たちは、いじめの存在さえ感知していなかった。
気の弱いその他のクラスメイト達は、いじめがあることを朧に知ってはいたものの、自分が次の標的にされては堪らないと、誰も関わろうとはしなかった。
大々的に行われない分、なお質が悪かった。
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