〈五〉便秘気味の彼氏

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 ところがある日、纂はそれを目撃した。 五人ほどの生徒が、寄って集って一人の生徒をいじめていたのだ。 彼女はそのとき一人の友人と一緒にいたのだが、纂がいじめを止めに入ろうとしているのを知ると、友人は薄情にもその場を離れて行ってしまった。 それでも纂は、躊躇いなく割って入った。 クラスの中で彼女は発言力の大きいほうではあったが、陸巳ほどではなかった。 だからいじめっ子の集団は、纂の出現に刹那にたじろぎはしたが、完全に勢いを殺すまでには至らなかった。 それどころか、いじめっ子たちは纂もろとも手を上げようとした。 相手は全員やんちゃな男子であったから、そうなることは簡単に予想できたはずだった。 彼女の考えが甘かったのだ。
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