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ところがある日、纂はそれを目撃した。
五人ほどの生徒が、寄って集って一人の生徒をいじめていたのだ。
彼女はそのとき一人の友人と一緒にいたのだが、纂がいじめを止めに入ろうとしているのを知ると、友人は薄情にもその場を離れて行ってしまった。
それでも纂は、躊躇いなく割って入った。
クラスの中で彼女は発言力の大きいほうではあったが、陸巳ほどではなかった。
だからいじめっ子の集団は、纂の出現に刹那にたじろぎはしたが、完全に勢いを殺すまでには至らなかった。
それどころか、いじめっ子たちは纂もろとも手を上げようとした。
相手は全員やんちゃな男子であったから、そうなることは簡単に予想できたはずだった。
彼女の考えが甘かったのだ。
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